日だまり椅子         音楽・映画・本・芸術

言葉のチカラ

ミスチルの桜井和寿さんと小林武史さん率いるBank Bandの『to U』。
久しぶりに音楽が心に響きました。
メロディの美しさと歌詞に込められた深いメッセージ。
そして声。

たとえ、現代の影の部分を映した重い内容だとしても、
いつもその先に希望を照らしている。
桜井さんの創る音楽は、もともと大好きなので
ひいき目だって好みだってみんな含めた上で。

それでも、ふいに耳にした音楽で、人の心を動かせる。
それは、やはり簡単なことではないのだと思います。

たぶん、音楽だけでなく、創るもの、差し出すもの、
すべてのものに当てはまること。

自分が発信する、形のない言葉の
秘める力を信じているからこそ
誰かの心にまっすぐに届くのでしょう。

きっと、多くの人にこの曲が届き、励まされる。
そう確信しながら、今も聴いています。

ペンギン人生(ペンギン生?)に学ぶこと

涙を流している人だけが悲しいわけではない。
言葉を発している人だけが考えているわけではない。
近ごろ、実感していることです。

形として見えているものを、ただ浅く捉えて
わかったふりをしてしまいがちなことを。

* * * * * *

休日に『皇帝ペンギン』を観ました。
零下40℃の南極大陸。外敵の少ない氷山に囲まれた場所まで、
数週間かけて行進するペンギンたち。

そこでパートナーを見つけ、産卵、子育てするわけですが、
氷の上に卵を落としたら、数十秒で凍り付いてしまう環境下、
産卵を終えたメスからオスへと卵は託されます。

メスたちはヒナの餌を蓄えに海まで旅に出かけ、
オスたちは足の上(とおなかの毛の間)に挟んだ卵を落とさないように、
120日間何も口にせず、吹き抜けるブリザードに耐えながら、
ぎゅうぎゅう寄り添って、妻(?)の帰りと、卵が孵る時を待ちます。
彼らを突き動かしているのは本能、種の存続なのでしょうが、
自分たちのたったひとつの種を守り抜く姿が印象的でした。

思えば、生きがいや生きる意味を考えたり、
探そうとするのは人間だけなんですよね。

尊敬の念で、JR Suicaのスケートするペンギンを
見る目すら変わってしまいそうです(涙)

羊が三千匹…

もともと寝付きが悪い上、眠りが浅いのですが、
体調が低迷気味のせいもあり、なかなか眠れない夜を過ごしています。

そこで活躍しているのが、
数ヶ月前から愛用しているiPod mini。
長めの好きな音楽を聴いて眠りを誘おうと目論んだものの、
ラフマニノフのピアノコンチェルト第2番(が一番好きなので)から聴き始め、
結局4番まで聴きとおす始末ですが。
…そういえば、羊を数えていたら3000匹まで集まったので
あきらめた過去があります(笑)

閑話休題。
ベッドで、セッティングしたCDなどと関係なく選曲できるのは、
どんな状態でも気軽に音楽を楽しもうという気持ちになりますね。
Appleも国内の音楽配信に参入するようなので、今後楽しみです。

音楽といえば最近、GARNET CROWの『I’m waiting 4 you』という
アルバムを聴いてすっかり気に入ってしまいました。
ヴォーカルの中村由利さんの力強くて魅力的な声と、
曲、音そのものの懐かしい感覚。

違和感なく、すうっと馴染むように新しいアーティストに浸ることができました。
「この曲いいな~」と新しく感じられることが少なくなっていたので、
この発見は久しぶりに嬉しいです。
—-
※コメント機能はオンにしてみました。
ゲストブックが閉じていて、つんとした場所になってないといいのですが。
たいした理由ではないけれど、いずれ書けたらと思っています。

タイムカプセルをあけよう ~ベティ・ブルーインテグラル完全版

※内容に踏み込んだ箇所があります。これから観る予定の方はご注意くださいね。

昔観た映画や本を、年月がたって鑑賞してみるのは、
タイムカプセルをあけるのに少し似ているかもしれない。
作品を通して、当時の自分がふっと垣間見える。
いつ見ても同じ感想を持つものもあれば、まったく違う印象を持つものもある。
時の流れを感じること。それがなんだか不思議な感覚で、昔見た映画をとりだしてみる。

この映画(『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』の方だったが)を観たのは、
10年くらい前だったろうか。激しい恋に落ちた男女の話。
その時は、ベティのエキセントリックな部分、
破滅的な二人の愛の形ばかりが印象に残った。
傷つけられるような強烈さだった。

しかし今、 目に映るものがずいぶん違って見えることに気づいた。
違うというよりも、もう少しだけ広がって。

ベティのすべてを受け止めようとするゾルグの愛の深さや、
幸福なときの夢のように美しい光景や、ベアトリス・ダル(ベティ)の笑顔の愛らしさ。
ところどころに散りばめられたユーモア。
そして、はっとするような綺麗な色使い。

ベティがそばにいてくれさえすればいいと願うゾルグと
彼の中に見出した才能にひたむきになってしまうベティとが、
まるで、たった一音だけ微妙に外れた不協和音みたいに、やるせなく響く。

もっとやり方を変えたら、うまくいくかもしれないのに。
少なくともベティは「うまくやろう」なんて思ってもいないんだろう。
何かに全身でぶつかって、やっと止まることのできる壊れた自動車のように。

ああ、でもしんどいな。
とあの頃より10歳年上の私はため息をついてしまう。

愛する人の夢が自分の夢となったり、相手と同化するくらいの情熱は憧れるけれど、
心地よい関係となると、二人の間にスペースキーをひとつ押したくらいがちょうどいい。

ひとりが持てる世界の分量がひとつだとしたら、
持ち寄る世界をふたり分ぎゅうっと合わせてしまうのじゃなく、
ひとつひとつのままがいい。

ひとつひとつをそれぞれが、大切に、尊重できたらいい。
ふたりともを。


そういえば、かつては何も感じなかったゾルグ役のジャン=ユーグ・アングラードが色っぽくて、すごく魅力を感じてしまったのも違ったところ。

石田ゆり子さんのこと

エッセイ『天然日和』を半分くらい読んだところで、
ずいぶん共感するところの多い人だなと、つい思ってしまった。
こんなふうに書いたら何ともおこがましいけれど。

彼女は、日本の女優さんのなかで、
たぶん一番すきといえる存在かもしれない。
清楚だけれどほのかな色気があって、線が細いようでこだわりをきちんと感じられる。
そういうところに憧れる。

話は戻って、共感した部分。
インテリアや雑貨がすきなところ
色を感じるのがすきなところ
その色のなかでも、選ぶのが大抵ベージュであるところ
優しさは他人への想像力だと考えるところ
言葉を大切にしたいと思っているところ
手に色っぽさを感じるところ
本がすきで、文章を書くことがすきなところ
ゲームはほとんどしないのに、
なぜか『バイオハザード』だけはとことんやるところ
そして、あのゲームを作った人たちに感動しているところ(笑)

それにしても、風通しの良い、心地よい文章を書く人だ。
ゆり子さん自身も「やりたいこと」とイメージされているようだけど、
いつかきっと素敵な小説を書き上げられるのではないかな。