部屋にある本棚

妊娠カレンダー/

2013年01月27日

妊娠カレンダーこの本は、まず姉を見つめる妹の視点に、
どこか自分にも覚えがあるような感覚を持ってしまった。
身内のそれも姉の妊娠という状況をどこか傍観者的な目で見ている。
神経症の姉から食欲を奪い、苦しめているように感じる妊娠の、どこがおめでたいことなのか。
彼女は「おめでとう」という言葉の意味を生真面目に辞書で引いてみる。

どんなに理不尽なわがままを言われても、抵抗せずにじっと姉の望むことを全力で与え、
そして、その状況さえも冷ややかに客観視しているこの妹のなかに潜むもの。

アメリカ産グレープフルーツの農薬の及ぼす悪影響を確認し、
意識した上でグレープフルーツジャムを作り続け、
姉がそれを望むから与え続ける。
求めるから与える。
そこに同時に存在する悪意と純粋さは、責めることに値するのだろうか。

結末は書かれてはいないけれど、実際は破壊したものなど何もないのだろうと私は思う。
最後のページの描写が様々なものを訴えている気がする。

妹が破壊しようとしたものは、染色体やひとつの命などではなく、
自分自身なのかもしれない。