部屋にある本棚

ファザーファッカー/

2013年01月27日

ファザーファッカー「十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、
 ただ一人の客は私の育ての父だった……」

漫画家であり、小説家でもある内田春菊さんの半自伝的小説。
単行本の帯のこの衝撃的な記載に胸がずうんと重くなった。

春菊さんといえば、解き放たれた性を描く人という印象を持っている。
半自伝とはいえ、小説家が書くものの、どこまでがフィクションで
どこまでがノンフィクションであるかを考えるのはナンセンスなのかもしれない。

でもこの本を読みながら、「事実であってほしくない」と願わずにはいられなかった。
今、現実に社会問題として表面化しつつある親による虐待。
それでもほとんどは深く水面下に潜んでいるのだろう。
それが性的なものを含めば、余計に。

不可思議な家族の関係を客観的に見つめながらも、母親に愛されることを求める「私」。
性に無知であることが、逆に理不尽で残酷な状況を受け入れ続けることになる。

しかし、漫画を描くことに対する情熱や、目指すところ、
求めるものを芯にしっかりと持つこのストーリーは、
主人公をただ可哀想な少女だけでは終わらせない。

余談ではあるが、内田春菊さんを初めてテレビで見た時、
なんというかドキッとしてしまったことを覚えている。
美人だとか、スタイルが良いとか、そういった目に見えるものではなく、
存在そのものに強く惹かれる何かを感じた。
惚れるというのに近かったのかもしれない。