部屋にある本棚

ラヴレター/

2013年01月27日

ラヴレター映像作家で知られる岩井俊二さんの小説。
映画の方は中山美穂さん主演で放映された。
私は映画の方は全部通して見たことはないのだけど、
「ピクニック」や「スワロウテイル」など印象的で美しいシーンが
何故か色濃く胸に残っている。
そのせいか、文章という形で見るとうまく入り込めなかったのが正直な感想。

ストーリーは、雪山で死んだフィアンセへの思いを断ちきるため、
彼か中学時代に住んでいた「過去」の住所へ手紙を出したことから始まる。
宛先不明のはずのその手紙に返事が返ってくる。
これだけでもとても魅力的な筋書きだと思う。

解説で脚本家の北川悦吏子さんが「この話は、恋人が自分を好きだったのは、
自分が初恋の女の子に似ていたからだ、と知る残酷な物語なのでしょうか」と
著者に問い掛けている。

文中で何度となく交わされる主人公博子と、
彼の初恋の相手の女性、樹との手紙のやりとりを読んでいると、
こういうのって残酷なんだろうかと少し考えた。

私も多少は経験があるけれど、少なくとも自分の好きな相手についての記憶を、
他の女性と共有できてしまうというのは、複雑な反面、
おかしなもので、どこか心強いある種の共同体みたいな感覚を持ててしまうのも真実だったりする。
同じ人を好きになる、というのは、それだけで不思議な繋がりを感じられたりもする。

誰かと共有してみて、見えてくるものもある。
だからこそ、その過程を経て主人公が恋人の死を乗り越えられるという流れは共感できる気がします。
できれば、映像で見たいストーリー。