部屋にある本棚

自傷する少女/

2013年01月27日

自傷する少女「自傷」は、自分で自分の身体を傷つけること。
自傷の患者数は、アメリカでは二百万人を越えるとされている。
馴染みのうすい言葉であり、症例があまり広く知られていないこのひとつの心の病を、
サイコセラピスト(心理療法士)の著者が小説という形で表現したものだ。

かつて、『鏡のなかの少女』、続編『鏡の中の孤独』で拒食症の少女の苦悩と再生を描いたのもこの著者である。
母親の夢を一心に背負い、オリンピックの代表選手になることを目指し、
フィギュアスケートの練習に日々を費やす少女ケイティ。
犠牲から成り立つ母親の期待により、ありのままの自分ではなく、求められる自分であること。

そんな大きなプレッシャーや鬱屈した心の軋みは、やがて彼女の精神を蝕んでいく。
それは彼女の心の弱さではなく、強さからだ。

扱いきれない自分の感情を、自分の身体を傷つける痛みによって癒す自傷行為が自己保存本能であること、
そこに及ぶまでの人の心の動きの複雑さをこの本によって多少なりとも触れることができる。
腕を切りつけて、精神の焦点を合わせる。
そんな行動のなかでの葛藤、セラピストの治療を受けていく過程での心理描写が興味深かった。