部屋にある本棚

はじめての夜 二度目の夜 最後の夜/

2013年01月27日

はじめての夜 二度目の夜 最後の夜同じムラカミでも龍さんの本は初めて。
ごく個人的で勝手な印象を言えば、春樹さんがポテトコロッケだとしたら、
龍さんはこってりとしたソースがかかったお肉だった。
どちらかというとハードな本が多いので「はじめての本」は敢えて恋愛物語にしてみた。

41歳になる作家ヤザキが、中学生時代の初恋の女性アオキミチコに再会するというストーリー。
タイトルも素敵だが、本の構成からとにかく洒落ている。
はじめての夜、二度目の夜、最後の夜をフレンチレストラン「エリタージュ」で二人は食事をする。
そのメニューがそれぞれの章のタイトルになっている。
たとえば、

9 パイヨンヌ産ハムとメロンの黒ゴショウ風味
73 フランス産 仔ウサギのリエット香草風味
139 ヤリイカのソテー ル・デュック風

という具合に。

重ねた年月のあいだに、容赦なく変わってしまうものと変わらないもの。
時間の残酷さを確認しつつ、懐かしく親密な気持ちを抱く。
そんな再会は、多かれ少なかれ誰もが経験したことがあるのではないだろうか。
もはや、持っているもの、築いてきたものを壊すほどの情熱はないけれど、
平凡な毎日からふわりと浮いたような非日常で、ただの男と女になる。

難しいだろうと思う食べ物、こと味わう描写に感心しつつ、
私は、彼女の背負っているもののぼかしが気にかかり、
それが読み終わるまで続いたことであまり心に残らなかったことが残念。