部屋にある本棚

空の遠くに―つれづれノート〈9〉/

2013年01月27日

空の遠くに―つれづれノート〈9〉銀色夏生さんの本を何冊か持っている。
白い余白にちりばめられた言葉は、
少年のように無防備だったり、
ちくんと心のどこかを刺すような深いものであったり。

ばらばらにも思える言葉のカケラを寄せ集めてみる一つの世界。
小説でも詩でもない独特な分野、「銀色夏生」という分野を切り開いた人だと私は思っている。

この『空の遠くに』は、シリーズで出されている日記形式のエッセイ。
創作から離れた、いわば生活感のあるエッセイにはとても興味があった。
あんなに美しい写真を撮り、透明な言葉を紡ぐ人が、
日ごろどんなことを考え、どんな風に暮しているのか。

この本を読んで、まず驚いたというか意外だったのは、
文章のそこここに顕れる厳しさだった。
子育てのこと、旦那さまのこと、淡々と書かれた細かな生活のなかの、
自分、そして家族を含めた人に対する厳しさ、
そのきっぱりとした距離の取り方は私には共感できるものが多かったが、
それまで持っていたイメージとはかなり違っていたのだ。
そんなまなざしの潔さみたいなものが新たな魅力となって感じられた一冊だ。

時々、自由に何でもできてうらやましいと言われるけれど、そのために私が払った犠牲というか払ってきた注意を知ると、うらやましいとは言わないだろう。今の状況は今までの結果だ。
そして、持続するためには、変わらぬ強い意志と心がけが必要。私はこれからも、同じように生きていくだろう。
(空の遠くに/本文より引用)