部屋にある本棚

南の島の魔法の話/

2013年01月27日

安房直子さんと言えば、
私はやはりこの短編集のなかの『きつねの窓』と『鳥』を挙げたい。

安房さんの作品は必ずファンタジーと現実とがどこかで絡み合っている。
自分とは関係の無い世界として取り残される感覚がないところが好きだ。
明日自分の身に起ってもなんら不思議ではないような、そんな気持ちにさせてくれるお話を書く人。

『きつねの窓』は、桔梗の汁を塗られた指で作る窓から、
『鳥』は鳥が入りこんだと医者に駆けこんだ少女の耳のなかから、
もうひとつの世界が見える。

身体の一部分から見えるその世界は夢物語ではなく、
決して帰ることのできない遠い思い出と、取り返すことの出来ない時間だったりする。

素敵な指を持てたのに、うっかり指を洗ってしまう僕や、
ピンセットで鳥を掴えることが出来なかった医者のその悲しい滑稽さ、
息子を独占したい魔女のエゴ、
人を愛する少女に自分を反映して親しみを感じる大好きな作品だ。