部屋にある本棚

群青の夜の羽毛布/

2013年01月27日

群青の夜の羽毛布巧いなぁ。読みはじめから、にやりとしてしまう。
人の(特に女性の)心の奥底を、
時に意地悪なほど鋭くえぐりだしてしまう、作家・山本文緒さん。

他の作品も何冊か読んではいるけれど、きらりと印象深い短編に対して、
長編は、ストーリーの面白さが先行して、
するりと通り過ぎてしまうという感想を持っていた。

さて、冒頭から一気に惹きこまれてしまう、この『群青の夜の羽毛布』は、
家族という囲いのなかにがんじがらめに囚われた母と娘、女三人の物語。
悲劇的で、どこか滑稽で、血生臭い。

「女が結婚しないで済むためには」とこの母親は言う。
良い学校に入り、良い仕事に就くように。そう言い聞かされてきたさとるだが、
せっかく入った大学も中退し、今は家事手伝い。
家族とも他人とも関係をうまく持つことができない彼女。
その言動の随所に感じる決定的に病んでいる部分。

それは、冷徹な母親と妹みつるにも及ぶのだ。
それぞれが秘める憎しみと、暗黙のルールのもとで守ろうとしているものは何なのか。
次第に明らかになっていく家族の歪み。そして、思いもよらない真実…。

恋愛小説でありながら、家族小説でもあり、ホラーの要素もある。読後感は意外にも爽やか。
それにしても、家族という人間関係の成り立ち方は、本当にさまざまだ、と思ってしまう。
外からでは計り知れない習慣やルールや事情。
他人に映る異様さや滑稽さが、ごく内側では疑うこともなく真剣に取り行われているということだってあるのだから。

家族って、いったい何なのでしょうね?