日だまり椅子

バランスについて・映画『バベル』

何気なく川面に投げた小石が、ちいさな水紋をつくる。
静かに広がった水の輪はさざ波を立て、揺らぎ、
やがては思わぬ場所で、何かを変えてしまうような力を持つこともあるのだ。

世界はつながっている。
そして、人はその内側でそれぞれを生きているのだ。

もし、遠い世界に起こる物事が、私たち1人1人の何気ない行動につながっているのだとしたら…そのバランスの不安定さに身震いしてしまう。
東京の夜景を見下ろす高層マンションと、
絶望にくらくらしそうなメキシコの砂漠と、
慎ましい暮らしのある乾いたモロッコの山々と、
何の関わりもないような場所を結ぶ、それまで見えなかったつながりを、
子供の放った1発の銃弾が浮き彫りにする。

そばにいるのに通わない心、伝わらない想いに苛立つ人々。
言葉を探そうとすればするほど、核心から遠のいてしまうようだけれど、
凄い作品に出会ってしまった。

いつも新作が出ると必ず手にする村上春樹の本。
今回はさっぱり手に入らない。
もちろん、本を出せば売れる作家であるのは承知しているけれど、こんな経験は初めて。
人の流れがひとつの大きなカタマリになっている感じがして、少しばかり奇妙に思える。
「話題になる」というのはこういうことなのかな?

楽しみは先にあった方がいいので、
読める日を気長に待つことにします。

This Post Has 2 Comments

  1. 有紀 より:

    どういうタイミングか自分でもわからないのですが
    時々衝動的にゆらさんのサイトに足を運びたくなります。
    というわけで、おひさしぶりです^^
    村上春樹の新刊、運良く発売日1日前に入手、
    5日間ぐらいで読み終えました。
    村上さんの集大成、、という感じがしました。
    ゆらさんの手元に届く日が早く訪れますように。

  2. ゆら より:

    > 有紀さん
    わぁ、お久しぶりです。有紀さん^^
    どういうタイミングでも、ひょっこり遊びに来ていただけるのって嬉しいです。
    発売日の1日前ってスゴイ!
    私は記事でぼやいてしばらくして、ようやく手にすることができました^^
    早く先を読みたいけれど、終わってしまうのが惜しいので
    ちびちび(?)読んでます。
    いろいろな意味で厚みがあり、読み応えがありますね。

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